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リサイクルまで考え抜かれた販売システムとパッケージ
包装見聞録 第1回:シカゴ編
リサイクルまで考え抜かれた販売システムとパッケージ
2019年8月28日
こんにちは。 協進印刷企画設計、シニアアドバイザーの千田建一です。
近頃は社内での設計を行うだけでなく、パッケージの専門誌や各地で行われる包装に関連したイベントでのセミナーなどに講師で呼ばれることも多くなってきました。
セミナーなどでも良くお話させていただくのですが「設計アイデアの原点は旅にある」と思っております。
そこで、このコラムでは「包装の世界を通して何かと出会い、体験したコト、モノ」をお伝えしようと思います。タイトルはマルコポーロの「東方見聞録」で様々な国を見聞きし記した事にあやかって「包装見聞録」としました。
シカゴで見つけたのはリサイクルまで考え抜かれた販売システムとパッケージ
2018年8月、アメリカ合衆国中西部に位置するイリノイ州シカゴへ訪れました。
シカゴといえば博物館やギャラリー、劇場やジャズ・ブルースなどのアートカルチャーや、シカゴピザなどでも有名で、スポーツも盛んな大都市です。
私は海外へ行く時は、音楽に触れること・美術館を訪れることを主な楽しみとしております。
それにともなってコンビニ、スーパー、デパートなどでパッケージの傾向を見るのもまた楽しみとなっております。
シカゴへはシカゴジャズを目当てに観光で訪れ、ジャズを堪能したほか、ミレニアムパーク近くのシカゴ美術館なども周りました。
途中、Walmart Neighborhood Market(ウォールマート)やWhole Foods Market(ホールフーズマーケット)などといったスーパーやコンビニへ立ち寄った時には、日本と比べて流通量の多さからでしょうか、機械充填のラップラウンド形式の多さが印象的に感じました。
シカゴでは数々のユニークなパッケージや展示方法に出会えましたが、そのなかでもっとも印象的だったパッケージを今回はご紹介したいと思います。
それは帰国時空港のフードコートの通路で見つけました。
こちらの写真です。
新鮮なサラダが専用瓶入りで自販機で売られています。
サラダの専用自販機なんて!とてもびっくりして写真を撮りました。
日本ではコンビニでのパック詰めは良く見かけますが流石に自動販売機までは見た事はありません。
「Farmer’s fridge」で調べてみると、シカゴでは話題になっている様子です。
「Farmer’s fridge」は栄養面でも優れた新鮮サラダが売りで、毎朝10時に新鮮なサラダが補充され、ひとつ8ドルで販売。売れ残ったサラダは、午後6時より1ドルでセール販売されます。
自動販売機を良く見ると食べ終わった後、購入者が瓶投入口より瓶を戻す事が出来るリサイクルシステムも完璧です。
また自動販売機の外側は再生木材を使用していて、自販機にはクラフト紙のトレーも設置され詰め替えも可能です。販売システムから考慮しデザインすると優れたリサイクルシステムを創ることが出来るのだと思いました。
リサイクルシステムを取り入れたり、フードロスを考慮したり販売システムから考え直す。パッケージデザインの世界もまだまだ広がることができる、未来を感じた出会いになりました。
(株式会社協進印刷 元シニアアドバイザー 千田建一著)
編集後記:
リサイクルといえば、最近ではガラス容器をデポジット制で回収するプリン屋さんが協進印刷のそばにも支店をオープンしました。また身近なところでは、空のプラスチック容器を5つ集めて持っていくと店頭で商品と交換してくれる化粧品やさんであったり、下着の回収やスニーカーの回収など、企業の目線と消費者の目線が揃った環境への配慮の取り組みが定着してきているようにも思えます。
数年後、教科書に記載される「使い捨ての時代」とはいつまでになるのか。2019年の今現在はグレーな時代に感じますが、確実に終わらせたい時代の名称のひとつだと思います。
協進印刷では、製造・流通・販売・保管の目的を一旦クリアしたパッケージのその後も考えた設計にも取り組んでいます。販売システムにマッチするパッケージの作成、または今現在の製品の改善、お困りごとなどございましたらお気軽にお問い合わせください。
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